プロジェクト・マネジメントのPMコンセプツ/コラム詳細

プロジェクト・マネジメントのPMコンセプツ/コラム詳細

PMコンセプツ・トップページ >> コラム詳細

採用情報サイトマッププライバシーポリシーお問い合わせ

コラム詳細

2007/08/01掲載
統計の罠
先日、足立区の区立小学校で、区学力テスト実施に絡んで不適切な行為があったことが発覚した。足立区では学力テストの各校順位を区のホームページに発表して、その順位に応じて予算配分も傾斜させているそうだ。報道によれば問題のあった小学校は、得点の低い児童を親に無断で集計対象から除外したり、テスト中に誤答を指差して再考させたり、前年度の問題のコピーで練習させたりして、前年度の44位から1位にランクアップさせたそうだ。前提条件を理解せず、単に1位の学校だから学力が高いと判断してしまうと、本質を見失うことになる。

数字で説明するともっともらしく聞こえる。「多くの人が・・・」と表現するのではなく「73%の人が・・・」と表現すると信憑性が増す。しかし、数字の算出の裏にある前提を確認する必要がある。「あなたは、インターネットを利用できる環境にありますか?」とアンケートを実施し、ほぼ100%の人がYesと回答。実はWEBでアンケートを行っていた。道を通りかかった人をインタビューし、実に85%以上の人が体調不良を訴えています、と結論付ける。インタビューを実施したのは病院の前であった。

映画の宣伝文句なども典型的な例だ。常に史上最高の観客動員記録を更新しているが、「金曜日が初日の場合の週末3日間の初回上映時の合計で、人口40万人以上の大都市は除く」場合に限定されていたりする。2001年の年初に、今世紀最大の作品が生まれるのは不思議ではない。ある研究者が、犯罪者は知能が低いのではないかという仮説を立てた。この仮説を実証するために、刑務所に収容されている人の知能を測定したところ、平均より低い数字が出た。研究者は仮説が正しいと結論付けたのだが、これにも罠が存在する。犯罪者にも知能が高い人は平均と同等に存在する。ただ知能が高い人は刑務所に収容されず、結果として刑務所には知能が低い人が集まっているだけなのかもしれない。

皆さんもプロジェクトのプランを策定する際に、明示または暗黙の仮定・前提に基づいているはずだ。常にこれを意識して物事を判断していかないと、作為的な結論に知らない間に導かれていくことになる。その先には、地の底につながる深い落とし穴が待っているかもしれない。(七対子)


採用情報サイトマッププライバシーポリシーお問い合わせ