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コラム詳細

2012/11/01掲載
目的志向
よく「元を取る」という言い回しを耳にする。最近では、エコ住宅と呼ばれる一戸建て住宅における太陽光発電や、エネファームと呼ばれるエコ対応のガス給湯器の導入に向けた宣伝文句で聞くことが多い。

今時のエコ住宅たるや、それは立派なもので、高気密性を追求した外壁内壁の分厚い断熱材と二重窓サッシ、太陽電池、燃料電池、蓄電池、ヒートポンプ、地下水循環、自然換気、壁面緑化、散水設備など、ありとあらゆるハイテク装置で限界まで環境性能を高めた仕様になっているらしい。全部装備すると設備代に1,000万円かかるかわりに、自家発電が可能になることにより月数千円の電気代がタダになるか、もしかすると余った電気を数千円で売れるという。しかし経済的には、家主が寿命を迎えるまでにとても元は取れないだろう。

エネファームにしても、部品の点数が多い上、材料に高価な白金を使うこともあり、1台で約270万円はかかるらしい。標準的な家庭で年間5万円程度の光熱費を削減できるそうだが、製品の保証期間である10年間では元が取れない。30万円前後で設置できる従来のガス給湯器と比べると割高感が強いことは否めない。環境に配慮し、自己の犠牲は厭わないという崇高な気概を持っているのなら良いが、そうでないならば、前述のようなエコ住宅やエネファームを導入する目的は何なのだろうか。

筆者の住むマンションでは今般、管理会社からの提案で共有部分に対する電子ブレーカー導入が検討されている。その目的は、過大な契約電力を適正な契約電力にすることによって、その契約電力の差分にあたる基本料金を低減することにある。導入に50万円程かかるが、毎月1万5千円程基本料金が安くなるとのことで、3年ぐらいで「元は取れる」との触れ込みだ。「節電にもつながるのでエコにもなりますよ」と管理会社から熱心に奨められると、却って損をするのではないかと不安になるから不思議なものである。

岐路に立って意思決定を迫られた場合、迷ったら原点に立ち返って目的を確認することは、日常生活でもプロジェクト・マネジメントでも共通の金科玉条と言えそうだ。
(七対子)
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