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コラム詳細

2007/04/01掲載
不都合な情報の伝わり方
最近、連日のように企業の不祥事が報道されています。その中で共通していることは、失敗やミスが隠蔽され、組織の中に伝えられないということがあります。本来ならば失敗から教訓を学び、将来につなげるべきところを、「失敗はあってはならない」という強迫観念に突き動かされ、重大な事態にはつながらないと楽観的に判断してしまい伝達を躊躇する、といったところではないでしょうか。そう、失敗は伝わりにくいのです。失敗は個人の中に、あるいはチームの中に、組織の中に、企業の中に閉じこもる傾向があります。ここで、失敗を伝えなかった個人に責任を押し付けようと問題を矮小化する傾向がありますが、ほとんどの場合、「個人」よりも「組織」にこそ問題の根っこがあります。そこに気づいているトップマネジメントや、そこに切り込む勇気のある企業戦士が果たして何人いることでしょうか。

失敗ではありませんが、企業不祥事の報道がされるとよく思い出す事例があります。1982年、米ジョンソン&ジョンソンは、製品である鎮痛剤のタイレノールに毒物を混入され、消費者7名が死亡するという事件が起きました。この時のジョンソン&ジョンソンの対応は危機管理の模範です。まず会長自らが最高責任をとることを直に明言し、多額の費用がかかる製品回収を真っ先に実行しました。また、ここが素晴らしいのですが、混入した毒物と同じ化合物を工場の中で使用していたことも早い段階で公表したのです。消費者はこれで「ジョンソン&ジョンソンは正直な会社である」と思ったことでしょう。消費者は隠し事をされるのを一番嫌いますから・・・。さらに、毒物がいたずらで混入されないような三重包装を2週間で開発し、市場に復帰したのです。これまでにかけたコストは、なんと1億ドル。しかし、その真摯な企業姿勢によって、結果として消費者の信頼を勝ち取ったのです。

企業が本来もつべきものは、自己保身の精神ではなく、このような社会正義の哲学なのです。(蹴人)

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