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コラム詳細

2008/07/01掲載
『思い込み』の恐ろしさ
この信じがたい話を覚えていますか。

1998年12月11日に打ち上げられたアメリカの火星探査機『マーズ・クライメート・オービター』が、1999年9月23日火星上空に無事到着したのですが、その後NASAとの交信が途絶え、探索は失敗しました。それは、この宇宙探査機が予定よりもはるかに低い高度で「赤い惑星」に近づいたためらしい。NASAによると、予定では探査機は火星の表面から150キロのところまで近づくはずが、60キロ以内にまで接近してしまったようです。この高度では機体の温度が急上昇し、大きなダメージを受けたものと思われます。NASAは約9400万ドル!を灰にしたと報道されていました。

何故このような事故が起きたかというと、原因は驚くほど単純なものでした。それは、「単位系をめぐる伝達ミス」です。探査機の複数の管理チームがそれぞれ異なる測定単位−メートル法とヤード・ポンド法−を使っていたのです。あるチームがメートル法に基づいて出した指示が、別のチームではヤード・ポンド法で解釈されていたというのです。その結果、時速100キロで動くように地上から指示したのに、探査機は時速100マイル(約160キロ)で動いてしまったのです。

天下のNASAともあろうものが、このような単純で基本的なミスを犯してしまったことに、当時衝撃を受けたことを思い出します。しかし、ここから多くの教訓を学べるような気がしませんか?

それはモノゴトの見方、捉え方は多面的・複眼的であるということです。人間は自分の過去の経験や価値観の呪縛から完全に逃れることはできません。どうしても自分の基準やモノサシが唯一絶対のもののように錯覚しがちです。だからこそ、自分をなるべく客観視することが必要です。「果たしてそれが絶対の基準なのか?今回の状況には当てはまるのか?相手もそう考えているのか?別の見方があるのではないか?」と自問することが大切なように思います。

これはプロジェクト・マネジャーにも不可欠な姿勢ではないでしょうか。
(蹴人)

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