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コラム詳細

2021/06/01掲載
「多様性」の前の「同質性」
今、「多様性」という言葉は、「市場の要求の多様化に応じ、企業側も人種、性別、年齢、信仰などにこだわらずに多様な人材を生かし、最大限の能力を発揮させよう」という背景の中でもてはやされています。さまざまな生物種が存在していれば、大きな環境変化が生じても一部の種は生き残ることができることから、生態系や進化の比喩を用いながら「多様性」の大切さが指摘されることもあります。

その際に注意しなければならないのが、ここでいう「多様性」とは「デモグラフィックの多様性」ではなく「考え方の多様性」でないと意味がないということです。たまに、「女性比率をxx%にする」とか「外国人比率をxx%にする」などを目標値に設定する例がありますが、違和感はぬぐえません。組織パフォーマンスを向上するうえで重要なのは、「年齢」「性別」「国籍」などのデモグラフィック属性の多様性ではなく、「経験」「価値観」「考え方」の多様性であるはずです。イノベーションは知的コンフリクトから生まれることが多いのですから。

また、そもそもの話、「多様性」が素晴らしいということになると、「同質性」はよくないのかとなりそうですが、よく考えると、「多様性」と「同質性」を二項対立で考える枠組みがおかしい。正確には、「多様性」の前に「同質性」があるべきでしょう。企業や組織にとっての「同質性」とは、企業のビジョンや理念、文化に賛同しているということに他なりません。この「同質性」を前提にして、異なる才能や背景をもった人を集めるのが真の「多様性」です。

ネットで、茶色く色あせたソニーの「設立趣意書」が見られます。会社設立の目的の最初にこう書かれています。「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」。なんだか読むだけで、ワクワクしてきて、こんな会社で働いてみたいと思わせる力があります。結局のところ、「働く人間に夢を与える」ことこそが、経営者(リーダー)の役割なのだと身に染みます。(蹴人)

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