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2021/03/01掲載
とりあえずのMade in Japan
ドラッグストアでの光景。ご夫婦と思しき男女が山のように積まれた箱入りマスクを手に取りじっくりと見ている。女性の方がマスクを買い物かごに入れようとすると、男性の方が「これ日本製じゃないよ」と声をかけた。それを聞いた女性は箱を改めて見て、その箱をそっと山に戻していた。「日本製」と書かれていないから品質が劣ると考えて、買うのを躊躇ったということが容易に想像できるシーンだった。

ひと頃大騒ぎしたマスク不足が解消されつつある中で、購入する側の心理としては、「安かろう、悪かろう」のマスクよりも、とりあえず安心感のある日本製のマスクを選ぶ消費者も多いだろう。しかし、本当に日本製なら安心なのだろうか?2月16日付けの読売新聞に、曙ブレーキ工業株式会社が子会社の工場で2001年から19年間、自動車部品の検査データを書き換える不正があったと発表し謝罪をしたという記事が載った。しかし、同じようなことは他の企業でも起きている。2000年からだけでも、リコール隠しだとか、試験データの偽装、検査方法の勝手な変更、データ改ざん等々、毎年のように報じられている。

かつて、日本の製造業にとって「日本製(Made in Japan)」は品質の高さを誇示する金看板だったはずだが、これだけ不祥事続きでは、看板にも埃が被りつつあるのではと思ってしまう。このような状況に陥った一つの要因として、グローバル化の促進や新興国の技術力の高まりの中で、Made in Japanの経営環境はものすごいスピードで変化してきて、そのスピードにものづくりが追い付いていけなくなった企業が、品質云々よりも、とりあえずMade in Japanとして市場に送り出して利益を得ることを優先させていることが考えられる。目先の利益にだけに目が行くと、不祥事が発覚しない可能性とその影響の大きさの判断を誤り、その結果、ばれてしまった時には、謝罪するしかないという、危機管理の甘さが影響しているのではないだろうか。しかし、その不祥事の影響は、その企業だけに留まらず、日本製品全体の信頼を大きく毀損させてしまうという重大な結果をもたらす。

まだまだ冒頭のご夫婦のように日本のものづくりを信頼している人は大勢いるはずだ。そのような人のためにも、もう一度Made in Japan=高品質の看板を磨き直す努力が必要だと思う。(歩)

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