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コラム詳細

2019/10/01掲載
芸術とプロジェクト・マネジメント
芸術の辞書的な定義は、「芸術とは、表現者あるいは表現物と、鑑賞者が相互に作用し合うことなどで、精神的・感覚的な変動を得ようとする活動」(ウィキペディア)となります。つまり、創作物そのものではなく、他者と分かち合えるような美的な物体、環境、経験をつくりだす人間の創作活動と捉えられます。

ところで、マルティン・ハイデッガー(1889-1976)は、ドイツの哲学者です。彼の主張は難解ですが、独自の「実存哲学」を形成したことで有名です。彼の芸術観が面白くて、芸術を、芸術と芸術家と芸術作品に分けて考えています。芸術家や芸術作品に芸術が存在するのではなく、その根源として芸術は存在する、と述べています。「真の芸術」は、絵画や画家にあるのではなく、作品の裏側にある思い、イメージ、空気感、生き様などに凝縮されているという考え方です。

ハイデッガーは「芸術作品の根源」という本の中で、芸術論を展開します。ゴッホの「靴」という作品ではボロボロの靴が描かれていますが、農夫が使っている古くくたびれた靴からは、農夫の生活、労働の辛苦、荒々しい大地の匂い、ボロボロの靴への愛着などが感じ取られ、それこそが「真の芸術」なのだと言います。確かに、作品を鑑賞する私たちは、作品そのものではなく、その向こう側にある「真理」を感じ取れたときに大きく心が揺さぶられます。

さて、なぜ「芸術とプロジェクト・マネジメント」なのか?芸術とプロジェクト・マネジメントは一見相いれないように思われますが、実は共通点があるように思えます。例えば、芸術家をプロジェクト・マネジャー、芸術作品をプロジェクト・プランに置き換えてみると、どうなるでしょうか。プロジェクト・プランには工程表、予算、体制図、管理計画などがもちろん書いてあります。プロジェクトはそれぞれユニークですから、固有のゴールまでのストーリーを持つはずです。プロジェクト・プランを読んだ人が、そこからプロジェクトの背景、ストーリー、ステークホルダーの熱い思いなどを感じることができたとすれば、それは「芸術性」を帯びていると言えるのではないでしょうか。そういう意味では、プロジェクト・マネジャーは芸術家の要素も兼ね備えているのです。(蹴人)

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