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コラム詳細

2016/08/01掲載
カスタマー・エクスペリエンスの裏側
カスタマー・エクスペリエンスとは、商品・サービスの選定、購入、利用、サポートまでの経験を通じて顧客が感じる価値のこと。商品・サービスそのものの強化だけでは競合との差別化を図ることが難しくなる中で、商品・サービスを核にして顧客に「良質な経験という感動」を与え、長期的なファンを増やすことを意図しています。

カスタマー・エクスペリエンスの例として、2013年にオープンした佐賀県武雄市図書館の話があります。武雄図書館は、カルチャ・コンビニエンスクラブ (CCC;事業会社にTSUTAYAがある)とスターバックスコーヒージャパンと協業で運営されており、従来の図書館のイメージである、建物は古い、本も日焼けしている、スチールの本棚が並びどこも無機質、といったものを覆しました。

館内は大きな天窓と広い吹き抜けで開放的な雰囲気、スターバックスコーヒーの店舗がありBGMが流れる中、カフェスペースでは利用者がカップを片手に思い思いに選んだ雑誌や本を開く、もちろん静かな読書スペースもある、長く過ごせるように閉館時間を夜9時までとしている、CCCのポイントカード「Tカード」も利用できる、等々。武雄図書館は従来の図書館のイメージを打ち破り、一時、地方創生の画期的な手法と称賛されました。おぉ、これぞ、カスタマー・エクスペリエンスの見本!

ところが、一部にCCC流に疑問の声が上がり始めます。古い本ばかりで新しい本が入ってこない、というのはまだよい方で、10年以上前の資格対策本や埼玉県のラーメン店ガイドなどを開館時に購入していた、しかもそれらの本をCCCが出資する古書店から買ったことから「TSUTAYAの在庫処分だ」というケチがつきました。さらに図書館改革を進めた前武雄市長がCCCの子会社の代表取締役に就任していることが発覚し、「天下りではないか」と追及され、武雄図書館への批判が噴出。あまりの悪評に、愛知県小牧市では新図書館建設計画が住民投票で否決され、CCCとのアドバイザリー契約が解除されるという事態に・・・。

営利企業が利益を追求するのは当然です。「図書館運営を通して地域社会に貢献するという高邁な理念を持て」というのは綺麗ごとすぎるかもしれませんが、カスタマー・エクスペリエンスの対象である一般消費者からすると、企業の真の目的(本質)をその行動で感じ取るものです。(蹴人)

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