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コラム詳細

2016/06/01掲載
サブリミナル効果
意識に上らないほどの一瞬の時間に映像と無関係に何かワンカットを挟むと、それが提示されたことに気が付かないにもかかわらず、見ていた人の行動に影響を与える。いわゆる「サブリミナル効果」というものがあります。これって本当でしょうか?

有名な話として、1957年、ジェームス・ヴィカリー(経済学者、経営学者、広告会社経営)が行った実験があります。ニュージャージー州の映画館で5秒ごとに1/3000秒、「ポップコーンを食べろ」「コーラを飲め」というメッセージを流したところ、コーラの売上が18%、ポップコーンの売上が58%増加したというものです。世間はこの結果を大々的に捉え、「サブリミナルはすごい」ということが定着していきます。ちなみに、日本ではNHK、民放ともに番組放送基準でサブリミナル的手法を禁じています。

しかし、実は上記の実験は捏造された話でした。1962年、ヴィカリー自身が「あの発表は嘘だった」と告白しています。彼は当時、経営する広告会社の業績悪化に悩んでおり、話題作りのためにサブリミナル効果の話を捏造したのでした。サブリミナル効果は嘘だった・・・。ところが話はまだ続きます。

ヴィカリーの話は「部分的には再現できそうだ」という次のような心理実験がその後行われてしまったのです。被験者を喉が渇いている/渇いていない群に分け、それぞれにサブリミナルで「thirsty(渇いた)」/「pirate(海賊)」を提示し、その後ある飲料を飲んでもらったところ、喉が渇いていない群には両者の飲む量に変化は見られなかったものの、喉が渇いている群は「thirsty」と提示されたグループの飲む量が1.8倍になったということです。

つまり、喉が渇いている、何か飲みたいという欲求があった時に限り、その欲求に合致するメッセージを受け取るとサブリミナルの効果が表れたことになります。結局、「サブリミナルは限定的な状況で効果がある」というのが現在の暫定的な結論になるようです。今後、実験によりさらなる肯定や否定の繰り返しが行われるかもしれません。我々の知見はあくまでもその時点での「最も確からしい仮説にすぎない」という認識を持つことが常に必要です。(蹴人)

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