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コラム詳細

2014/07/01掲載
可謬主義
人気漫画「美味しんぼ」で、福島の原発事故に関連する描写表現が物議を醸したのは記憶に新しいところです。漫画の内容はともかくとして、現地では今でも危険を伴う作業が続き、避難の長期化、廃棄物中間処理施設の問題など、問題は山積み状態です。なにより、原発の存続の賛否そのものが、国民を二分するほど意見が分かれており、将来が不透明になっています。

メディアで「原発の安全神話(崩壊)」なるものが、事故後よく取りざたされていました。そもそも、なぜ安全神話が誕生したのか。作り手(推進派)は一度作ったものを「いや実は危険でした」とは言えない。「安全だ」と言い続けなければならない。1970年代以降に興隆してくる反原発運動(反対派)は「危険だ」と言う。推進派はそれに対して、「いえ安全です」と応じる。皮肉なことに、推進派と反対派の二項対立が安全神話をさらに強化する面もあった気がします。住民も安全でないものを受け入れるわけにはいかないので、原発立地を認める以上、安全という前提を疑わない。こうして国民全体が「まあ大丈夫だろう」という漠然とした安心感に支配されてしまう。

「可謬主義」という言葉があります。無謬主義とは反対に、「判断は間違え得る」ことを前提に、間違いが分かった時点で修正できるようにしておくことです。これは、リスクマネジメントの基本でもあります。リーダーは、前提とした条件が変わる可能性があることを認識し、きちんと伝えるとともに、そのために最悪のシナリオ、最善のシナリオを用意しておくべきです。

リーダーだけでなく広く一般の意識を変える必要もあります。未来がある程度予想でき、無謬主義が通用する中で成長を遂げてきた戦後の日本とは、もはや違うわけですから。リスクの顕在化を減らし、メリットを最大化できる選択を持続的に取れるように、可謬主義的な原則を広く共有することが社会にとって(もちろんプロジェクトにとっても)重要です。(蹴人)


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