後知恵バイアス 後知恵バイアスとは、結果が分かってから実は予測可能だったと考えてしまう心理的なバイアスのことです。誰かが何か失敗をした時に、「だから、やめておけと言ったのに」と、したり顔で言ったりする人、いますよね。たいていの場合、本当にそう思っていたわけではなく、単なる「後出しジャンケン」です。
例えば選挙でも、選挙結果が出てから、「結果は最初から分かっていた」「アナリストやメディアは本当にアホだ」などと言い出す人がいます。そうした人は、その結果に合う情報を重視し、理由付けを図ります。「かくかくしかじかの理由で自分はこの結果を予測した」と、もっともらしいロジックを作り上げます。こうした自説に都合のよい情報のみを選び取ることを「チェリー・ピッキング(cherry picking)」と言います。
4年に1度のサッカーのワールドカップが盛り上がりました。日本はグループステージで首位通過を果たしました。これは誰も予想していなかった結果ではないでしょうか。そして面白いのは、ここでも後知恵バイアスらしい意見をたくさん見聞きしました。1回戦で格上のドイツを破ったときには、監督に対して「神采配」と評価しながら、2回戦でコスタリカに敗れたときには、「なぜ〇〇選手を出すんだ(または出さないんだ)」と非難轟轟。3回戦で再び奇跡の勝利を収めたときには、「おれは信じていた」「きっとやると思っていた」「名将だ」と手のひら返し。まさに典型的な後知恵バイアスです。
結局、私たちは自分の周りの出来事を説明しようと絶えず試みており、納得しやすい単純なストーリーを、熟慮することなく組み立てる生き物なのです。そして、起こらなかった無数の出来事よりも、たまたま起きた衝撃的な出来事に目を向けがちです。ドイツ戦の後半、選手を変えなければ実はもっとうまくいっていたかもしれません。コスタリカ戦の先発メンバーを変えていたらもっと打ちのめされていたかもしれません。こうした選択しなかった道に何があったか(これを反事実と言う)は誰にも分からないのです。適切な意思決定を行うためにも、私たちは後知恵バイアスに支配されやすいことを意識することが重要です。(蹴人)
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