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コラム詳細

2022/12/01掲載
最後のチャンス?
次世代半導体を巡っては地政学リスクの高まりから、国産化を目指す新会社「Rapidus(ラピダス)」が始動しました。トヨタ自動車やNTTなど日本企業8社が新会社を設立し量産を目指します。振り返ってみれば、日本の半導体産業は1970年代に日立製作所やNECなどの総合電機メーカーが高い競争力を有し、1980年代には日本勢が世界市場を席巻しました。しかしその後、競争力を落とし、韓国、台湾勢が急速に力をつけ逆転されます。日本勢は投資余力を失い、2010年代に最先端製品の開発に投資できず、国際競争に敗れました。

半導体分野では、オランダにASMLという会社があります。オランダの企業の中で時価総額がトップなのはフィリップスではなく、実はASMLです。ASMLは最先端の半導体製造装置を作っている会社で、1984年、フィリップスのゴミ捨て場の隣に建てたプレハブ小屋に社員31人でスタートしました。ASMLはシリコンウエハーに半導体の回路パターンを形成する「露光」という重要工程を担う製造装置の世界最大手です。もともとこの装置はニコン、キヤノンなどの日本勢の得意分野でしたが、1990年後半以降シェアを落とし、それと入れ替わるようにASMLがシェアを伸ばします。

ASMLとニコン、キヤノンの違いは何だったのか? ASMLは中核部品を外注し、日本企業は「自前主義」にこだわりました。自前主義にこだわったがゆえに、日本型縦割り組織を反映し、柔軟性や意思決定のスピードが犠牲になったと言われています。ASMLは多くの技術を外注する必要があったため他社と信頼関係を築く必要があり、また顧客であるTSMCやサムスン、インテルなどと連携して技術と知識が蓄積されていきました。今風に言うと、オープンイノベーション、それが成功につながりました。

「Rapidus」は日本の半導体業界にとってはリベンジになります。過去には、旧エルピーダメモリなど投資競争で財務が悪化し、国の資金がつぎ込まれたものの会社更生法の申請に追い込まれた例もありました。「Rapidus」もステークホルダー(船頭)が多いため、「船頭多くして船山に上る」とならないよう、トップのリーダーシップが求められます。まさにプロジェクト・マネジメントの英知を結集しなければ、日本の半導体復活の最後のチャンスも消えるでしょう。(蹴人)

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