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コラム詳細

2022/03/01掲載
魔が差しました
今年の大学入学共通テストでは女子大学生(19)による不正受験があった。果たして本人が警察に「自分1人でやった。成績が上がらず、魔が差してしまった」と自ら出頭したが、その報道を聞いた時、1人の受験生の不正行為に多くの人や組織が巻き込まれてしまったことに小欄は驚きつつも、不謹慎だが少し痛快感も覚えてしまった。

家庭教師のアルバイトを持ちかけられ、実力試しのテストだと思って解答を送ってしまった複数の大学生がいた。少しでも自分の知識が学力向上に貢献できればという親切心で家庭教師を買って出たのに、その思いが踏みにじられてしまったのは気の毒だったが、不正受験に巻き込まれていることを露ほどにも感じさせずに片棒を担がせる手口は巧妙だった。

女子大学生と大学生たちとを引き合わせた家庭教師紹介サイトにしてみれば、利便性と匿名性を売りにしたサービス提供が、不正受験の温床になってしまった事実は真摯に受け止める必要があるだろう。今回の件は手軽なサービスを提供する側の結果責任を問うことにもなった。

試験会場には6人の監督官がいたが、不正には気がつかなかったという。ただ、受験者の怪しい動きを察知して不正を暴くのはとても難しいはずだ。下手に踏み込むと試験を邪魔したとクレームを受けることもあるから、どうしても「おそらく不正はないだろう」との先入観を持つことになる。大学入試センターとしては、人の目に頼るだけでなく、最新技術を導入するなどの再発防止策を検討すべき段階に来ているという認識を持つことにもなっただろう。

それに、女子大学生の、最初の「魔が差しました」という言葉を聞いた小欄としては、出来心で多くの人を巻き込んでしまったのは良くないが、結果色々な教訓も残すことにもなったし、受験生として「少しでも良い大学に入りたい」という思いもあったのかなとの同情心する気持ちも持っていた。しかし、後日、不正には「中継役」がいたことが分かり、悪質性と計画性ありとなり女子大学生と中継役の20歳のシステムエンジニアが書類送検されることになった。さらにその後の調べで、昨年の共通テストでも同様の手口で不正を行って失敗していたと知るに至り、小欄の痛快感と同情心は一気に萎んだ。「魔が差しました」を鵜呑みにするようではまだまだ甘いと自省させられる出来事でもあった。(歩)

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