INVICTUS（インビクタス）
南アフリカのマンデラ元大統領が永眠しました。世界は、偉大な指導者をまた一人失ってしまいました。マンデラといえば、反体制活動家として27年もの間投獄されていたにもかかわらず、1990年に釈放され、後に同国初の黒人大統領となった人物です。
アパルトヘイトを撤廃し、民主的で自由な社会を実現するという理想を追い求め、立ち向かうその姿は「不屈の闘志」と呼ぶに相応しい。INVICTUSというのはラテン語で「屈服しない」という意味です。数年前にクリント・イーストウッド監督、モーガン・フリーマン主演の映画がありました。この映画を見ると、マンデラが、忍耐強く、信念を持ち続け、相手を尊重し、敵をも味方に取り込む魅力を持ったリーダーであることがよく分かります。
例えば、マンデラが大統領になった際、それまで政府の主要ポストを占めていた白人官僚たちは、報復的な人事をされるのではと恐れていました。それに対しマンデラは、初登庁の日に職員たちを集めて、「辞めるのは自由だが、新しい南アフリカを作るために協力してほしい。あなたたちの協力が必要だ」と呼びかけました。それによって安堵した職員たちはマンデラのもとで結束して働くことになったのです。
「相手の心に訴えるには相手の言葉を話し、彼らを理解する必要がある」とマンデラは語っており、自分達にひどい仕打ちをした相手にも、愛を持って誠実に応対する事で相互理解が深まり、信頼関係を築く事が出来るのだという信念を持って行動し、実際に相手を動かしてきました。
偉人のマンデラと比べるべくもありませんが、自分が小さなことでも他人に寛容になれないと自覚する場面では、今更ながら、彼の人間的な心の広さに惚れ惚れしてしまいます。（蹴人）
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