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コラム詳細

2013/06/01掲載
リプレイ
先日居酒屋で一献傾けている時に、若い男性2人連れの隣席から漏れ聞こえてきた会話。
A:「オレ、もし人生を学生時代からやり直せたら、今よりましな仕事選んで、もっといい人生を送れると思うんだけどなぁ〜」
B:「誰だってそう思うんだって。今さらそんなこと言ったってしょうがないだろう」
A:「あ〜ぁ、あの頃に戻れねぇかなぁ〜」
A氏は余程今の自分の境遇に不満があるようで、酔いに任せてこの後何度も「人生やり直して〜」と、詮無いことを繰り返していた。

新潮文庫の小説「リプレイ」(グリムウッド著、杉山 高之訳)は、その詮無いことが実現できるという小説だ。ある男が43歳で突然の死を迎えるが、気がつくと自分が18歳の頃に逆戻りしているのだ。記憶は43歳のままなので、やり直しの人生では、株や競馬で大儲けして、優雅に2度目の人生を送る。しかし、また43歳の同じ日に死ぬことになる。そしてまた逆戻りするというのを何度も繰り返す。主人公は、前世の教訓を活かして、次の人生では、より良い人生を過ごすのだが、結局今際の際には「もっと良い人生を過ごせたはずだ」と欲が出て次のリプレイ開始。ただし、リプレイを繰り返す都度生まれかわる年齢が上がってきて、最後には……、これ以上は読んでからのお楽しみ。

仮に人生がやり直せたとしても、全て思い通りの人生なんてありえないのだから、一度きりの人生、過ぎてしまったことを憂いているよりは、将来に向けて今何をやるのかを大切にすべきだと作者は伝えたかったのではないかと思う。

人生は一巻の書物で、真っ白なページに、毎日自分の言動を書き綴るようなものだと例えられることがある。一度書いたページは後から改訂することはできないし、ページを破り捨てることもできない。新たなページに書き足すだけの書物だ。もし、すでに起こってしまったことに後悔の念があるのなら、それは、過去を教訓にして、これから書き込む自身の言動で払拭して行くしかない。

橋下大阪市長の従軍慰安婦に関する発言が日本国内外に波紋を広げている。何を意図した発言なのか誰しもが疑問に思うものだった。もしかすると、橋下市長も、時計の針をあの発言の前まで巻き戻してリプレイできないかと願っているのかもしれない。訂正できない人生の書物に要らぬ1ページを残してしまったと思う。(歩)


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