プロジェクト・マネジメントのPMコンセプツ/コラム詳細

プロジェクト・マネジメントのPMコンセプツ/コラム詳細

PMコンセプツ・トップページ >> コラム詳細

採用情報サイトマッププライバシーポリシーお問い合わせ

コラム詳細

2013/03/01掲載
二度目ならでは
先日、松本清張の「点と線」を読んだ。高校生の頃に一度読んだことがあるのだが、訳あって何十年ぶりかで再読することになった。

果たして初めての再読の感想は…これが、同じ本とは思えないくらい新鮮だった。確かに前回読んだのはかなり昔だからストーリーをあまり覚えていないこともあるが、それは別として、同じ本でも読む時期にこれだけの違いがあると、読み手が持っている知識や経験の変化から、受け止め方が随分と変わるものだと思った。

若い頃はそれ程多くの本を読んでいた訳ではなかったし、まだ世俗に穢れていなかったせいか、松本清張が描き出す大人の世界への好奇心と嫌悪感を抱きながらもストーリーに引き込まれて行って、読み終わった時には清張ファンのひとりになっていた。その後立て続けに松本清張の小説を読みまくった記憶がある。歳をとってから読むと、ストーリーもさることながら、社会派の推理小説たる切れ味鋭い文体に感心し、さらにストーリーを裏打ちするために作者が集めた膨大な資料や時間をかけたであろう取材活動などにも思いを巡らせたりしていた。その分若い頃よりも読了まで時間がかかったような気がする。

この受け止め方の変化を筆者自身の成長とみて良いのか、それとも経年劣化してしまったせいなのか…それは考えないことにする。ところで、なぜ「点と線」を再読することになったのかというと、昨年末に購入した電子書籍専用端末がきっかけだ。書店に行かなくても本が買えて、通勤電車の混雑の中でも片手で読め、本の種類に依らず上着のポケットに収まる電子書籍専用端末は、モノグサ者で新しい物好きの筆者には魅力的に思えたので衝動買い同然で購入した。

「書店に足を運んで本を選ぶ時間も楽しめ」とか「ページをめくりながら読むのがいいのさ」と言った批判を受けるかもしれないが、辞書との連動で用語の意味を即座に調べられ、検索機能で知りたい箇所にすぐに辿りつけるといった電子書籍のメリットもあって気に入っている。

ただ電子書籍は蔵書の数がまだ少ないので、これから増えてくれることに期待したい。今回も読みたい本が見当たらなかったので、とりあえず安く手に入る「点と線」でももう一度読んでみようかというのが始まりだった。動機がいい加減だった割には、再読で良い経験もさせてもらったと思う。(歩)


採用情報サイトマッププライバシーポリシーお問い合わせ