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2010/05/01掲載
偉大なる便利屋
人気タレントと同姓同名であることから、球界の「キムタク」として親しまれた巨人コーチの木村拓也氏が先日亡くなった。37歳という若さであった。球技において1人でいくつものポジションをこなす選手をユーティリティープレーヤー(別名:便利屋)と呼ぶが、木村氏はまさに「便利屋」の最たる存在であった。昨年引退するまでの19年間で投手以外の全てのポジションをこなした万能選手。本人いわく「何でも屋」。

過去に日本プロ野球では、2人の選手が全9ポジションを守った記録がある。1人はオリックス時代の五十嵐章人氏。2000年に投手として登板し記録を達成した。この試合での登板は、ベンチ入りしていた投手を全て使い切ったというような特殊な事情によるものではなく、当時の仰木監督が五十嵐に全ポジション出場を達成させるために登板させた。因みにファンサービス心が旺盛な仰木監督は、1996年のオールスターゲームにてイチローを投手に起用して物議を醸したことがある。

もう1人は1974年に東映(現日本ハム)に在籍していた高橋博士氏。この時はリーグ優勝決定後の消化試合であったため、当時の中西監督がやはりファンサービスとして、1試合で全9ポジションを守らせた。「3番・一塁」でスタメン出場した高橋は1回ごとに捕手→三塁→遊撃→二塁→左翼→中堅→右翼と転々。最後に投手として1人を打ち取って記録を達成した。

過去の2例が完全にショー的な起用であったのに対し、木村氏の場合は真の必要性から8つのポジションを守った。特に昨年9月には、登録した最後の捕手が死球のため退場し、チームが捕手不在の事態に陥ると、監督から指示される前に自ら進んですぐさま捕球練習のためブルペンに向かった。そして10年ぶりに捕手として見事に無失点で切り抜け、リーグ優勝に貢献したとも言われている。

3月2日に行われた「プロ野球新人選手研修会」では講師を務め、後輩たちを激励した。「『俺が一番うまい』と思って入団して、一番得意だったことがうまくいかないのがプロ野球。僕みたいな『何でも屋』で飯が食えるのもプロ野球。壁にぶつかってもあきらめず、自分自身の可能性を探ってほしい」。これからも球界における縁の下の力持ちであり続けるはずだった木村氏に、謹んで心から哀悼の意を表します。(七対子)

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