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2009/12/01掲載
江戸の華
「火事と喧嘩は江戸の華」という言葉がある。江戸っ奴(こ)は、「粋」「いなせ」「意気地」「見栄」を美学とし、現代でも「鳥越祭り」などの喧嘩祭に、これらが引き継がれている。

今回は、ひとつの華である「火事」について触れてみたい。江戸時代、紙と木で作られた家が密集する百万都市の「江戸」では、冬に乾燥した風が吹くと大火事になることが多かったようである。

四代将軍・家綱の時代、「明暦の大火」(1657年)では、死者数が10万〜20万、江戸城をはじめ、江戸の大半が焼き尽くされたと伝えられている。この大火を契機に幕府は、江戸の大改造に手をつけ、諸大名の屋敷を場外に移し、跡地を空き地として防火の役割をもたせ、さらに広小路や防火堤、火除け地という空き地を各処に配した。また、旗本に消防組織である「常火消」を組織化させた。八代将軍・吉宗の時代には、「いろは48組の町火消」を整備し、火事に対する備えを強化した。

当時の消化活動は、類焼を防ぐ「破壊消防」しかなく、火の動く方向を見定め、建物をあっというまに壊して一瞬のうちに空き地を作りだすのである。この作業の中心となったのは屈強で身軽な「とび職」達であり、纏い持ちは屋根に飛び上がり、他の火消しは迅速な破壊に命をかける。そこが、「かっこいい」のである。こんな火消しは女性にモテ、若者の憧れだった。

テレビの時代劇では、「め組」が登場することが多いが、消化活動はあまり画面に出てこない。また、広重の浮世絵の中には「江戸乃華」という火事絵があり、身を挺して火と闘った人々の様子が克明に描かれている。

一方、江戸の落語には火事を題材にした噺が多い。「富久」「お七」「厩火事」など数ある演目の中で、「火事息子」は火事場やガラの悪い「臥煙(ガエン)」と呼ばれる常火消し人足の描写がすばらしい。この噺に登場する息子は、火事好きが高じて家業を継がずに町火消しを志すが、父親に手を廻され叶わずじまい。結局、無頼な臥煙になった息子は勘当されてしまう。ところが、近所の火事が縁で実家を助け親子が再会する、という人情噺である。

もちろん、こんな時代だったので江戸っ奴は、防火に心がけ火事の備えを十分にしていた。江戸の文化を受け継いでいるはずの現代人はどうだろうか。彼らに学ぶことも多いはずだ。(翔)

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