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コラム詳細

2009/11/01掲載
クレド(credo)
先日、肩書きに「チーフ・クレド・オフィサー」と書いてある名刺を見ました。

クレドとは「信条」を意味するラテン語で、「企業の信条や行動指針を簡潔に記したもの」です。いくつかの企業は、クレドを従業員の自主的な行動を促すためのツールとして活用しています。

有名なのは、ザ・リッツ・カールトン・ホテル。さまざまな業界各社がその接客ぶりを参考にし、ベンチマークしています。リッツのスタッフは、名刺サイズの「クレドカード」を常時携帯し、毎日頻繁に読み返すことで、顧客満足を大切にする価値観を育んでいます。カードには、「お客様への心のこもったおもてなしと快適さを提供することを、もっとも大切な使命と心得ています」というくだりで始まる「クレド」、基本的な接客手順、行動指針などが記載されています。リッツの職場では毎日朝礼があり、そこでカードに記載された項目について体験談を交えながら議論を尽くすという徹底ぶりです。リッツで生まれた数々の伝説的なサービスは、クレドなくしては考えられません。

ところで、クレドは経営理念やマニュアルの類と何が違うのでしょうか。記述の具体性で並べると、マニュアル>クレド>経営理念の順になるのではないでしょうか。クレドは、抽象的になりがちな経営理念と違って、守るべき指針を「簡潔かつ具体的に」記しています。また、クレドは「指針」にすぎず、従業員は指針に基づき具体的行動を自ら考えなければなりません。この点が、行動そのものを規定するマニュアルと異なっています。さらに、クレドは「普遍性と柔軟性」を併せ持っています。リッツ・カールトンでは、具体的指針を時代と共に変化させており、その改訂プロセスに従業員を深く関与させて、押し付けられたクレドではなく、自分たちのクレドであるという意識を醸成しています。

一般に、企業規模が大きくなってくると、創業者の「思い」は遠い存在になりがちです。理念や価値観、DNAは、企業によって異なるものであり、企業の個性を生み出す源泉です。この個性こそが競合との差別化要因になり、成長のためのエンジンになるはずです。抽象的な標語ではなく、クレドのような実践的なツールによって、価値観を共有し、具体的行動を考えること。それが、従業員の自主性やモチベーションを引き出し、さらには従業員としての誇りを形作っているように感じられます。(蹴人)

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