備えあればこそ 先月に引き続き、野球の話題から。
ヤンキースの松井選手は、昨年のヒザの手術から復帰を果たした。彼は、今シーズン、毎日マッサージとストレッチを欠かさない。それは、ヒザの傷をケアするためではなく、ヒザに爆弾を抱えながらも、怪我を恐れずに思う存分プレーするための準備だという。
マリナーズのイチロー選手。試合前は必ず同じメニューでコンディション作りをすることで有名だ。9年連続200本安打の大記録を目前にしたある試合前。朝からの雨で誰もが試合中止を予感している中で、彼は普段通りのメニューで準備し、天候の急変で開始されることになった試合で、きっちりとヒットを積み重ねた。
カブスの福留選手は、これまでの野球人生で、想定外の場面に出合ったことがないそうだ。試合状況を読み取り、あらゆる可能性を想定してプレーしていれば、想定外の状況は発生しないということらしい。全力疾走でのダイビングキャッチではなく、打者がヒットと思った当たりを、楽々キャッチするのが彼にとってのファインプレーなのだ。
日本人大リーガー3人の例を挙げたが、共通しているのは「準備」を大事にしているということだろう。自分のパフォーマンスを最大限に発揮できるように、入念に心と体を研ぎ澄まして備えることの重要さを感じているからに違いない。
誰もが、何事においても準備は必要と考えているはずである。しかし、それが当たり前のこととして実践できているかどうかが、彼らとの違いではないだろうか。自分の仕事ぶりを顧みると、準備するに越したことはないと思いつつ、結果的に「ぶっつけ本番」になっているケースがあることに反省させられる。
民主党政権になって、新大臣の面々が「マニフェストに掲げたことですから」といって、矢継ぎ早に施策を打ち出している。早く政権交代の成果を出したいと気が焦るのはわかるが、国家の重責を担った人たちには、くれぐれも「ぶっつけ本番」などということがないようにしてもらいたい。(歩)
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