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コラム詳細

2009/09/01掲載
人は己のために働く
アメリカ大リーグで初めてホームランを打った日本人選手をご存じだろうか。イチローでも松井でもない。知る人ぞ知る話だが、正解は投手の野茂英雄である。現在多くの日本人選手が大リーグでプレーしているが、その実質的な先鞭をつけたのが野茂である。1995年に大リーグに移籍した当時、日本球界からもマスコミからも、我儘だ、裏切り者だというレッテルを張られ、どうせ活躍などできるはずがないという非難が渦巻く中、野茂は家族を置いて単身米国に渡った。その後の活躍はここで述べるまでもないが、ノーヒット・ノーランを2回達成し、オールスターゲームで先発を務めるなど華やかな経歴をもつ半面、怪我に悩まされシーズン途中で解雇されるなど多くの球団を渡り歩き、所属球団がないまま自主練習を黙々と続けていた時期もあった。

あるシーズンが始まる前に、インタビュアーから「今年の抱負は?」と質問された野茂は、「自分がローテーションに入り活躍することです」と答えた。同様の質問に多くの選手が、「チームが優勝することです」といった(優等生的な)回答をする中にあって、野茂は、まず自分が活躍して勝利することが最優先事項である、その結果としてチームが優勝すれば言うことはない、という内容のコメントを出したのだ。血の滲むような努力をしながらも登板機会が与えられない苦難の時期を経験した者の重みのある言葉である。小生は元々野茂のファンであったが、この言葉を聞いてより一層好感を抱いたものだ。

どんな綺麗事を並べても人は所詮自分のために働いているのであって、会社や組織のために働いているのではない。昭和40年代の高度成長期であれば、個人を犠牲にして組織のために尽くすという文化も存在したかもしれないが、現代の社会においては理想論に過ぎない。皆さんの中にも部下やメンバーの動機づけで苦労されている方は多いと思う。闇雲に組織のためだから仕方がないだろうと個人の犠牲を強いていないだろうか。面倒かもしれないが、個人にとってのメリットをあらためて強調し、結果として組織に貢献できるような人材を育成することが、これからのリーダに求められる素養なのかもしれない。(七対子)

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