プロジェクト・マネジメントのPMコンセプツ/コラム詳細

プロジェクト・マネジメントのPMコンセプツ/コラム詳細

PMコンセプツ・トップページ >> コラム詳細

採用情報サイトマッププライバシーポリシーお問い合わせ

コラム詳細

2009/05/01掲載
プロスペクト理論
まずは簡単な質問を二つ考えていただきたい。

質問1.AとBの二つの選択肢がある。Aを選べば必ず100万円もらえる。Bを選べば50%の確率で200万円もらえるが、50%の確率で何ももらえない。あなたならどちらを選択するか。

質問2.CとDの二つの選択肢がある。Cを選べば必ず100万円支払う。Dを選べば50%の確率で200万円支払わなければならないが、50%の確率で何も支払わなくて済む。あなたならどちらを選択するか。

正解はもちろんない。数学的な確率論で考えれば、AとBの期待値とCとDの期待値は同じである。にもかかわらず、質問1.についてはAを選び、質問2.についてはDを選ぶ人が圧倒的に多いことが様々な形で実証されている。人間は、目前に利益があるとそれを確実に得ようとし、損失があるとそれを避けるために不確実性に賭けようとするものらしい。これは行動経済学では「プロスペクト理論(prospect theory)」と呼ばれている。株式投資を行っている方であれば、心当たりがないだろうか。ちょっと利益が出れば、もう少し待てばもっと利幅が多くなるかもしれないという不確実性を捨て、確実に利益を得るために売りに走る。ところが株価が下がると、もしかしたら今後上がるかもしれないという不確実性を取り、中々損切りできず結果的に損失を拡大させてしまうのである。

では、次の質問はいかがだろうか。

質問3.XとYの二つの選択肢がある。Xを選べば必ず50億円もらえる。Yを選べば50%の確率で200億円もらえるが、50%の確率で何ももらえない。あなたならどちらを選択するか。

期待値はYの方が2倍だが、Xを選ぶ方がほとんどではないだろうか。これは、50億円あれば働かずに一生遊んで暮らせるので、別に100億円なくても良いと考える心理を表している。これをミクロ経済学では、Xの方が期待効用が高い(確実性効果)と解釈する。

「自分は冷静だ」と思っていても少なからず感情に流されるのが人間である。重大な意思決定の場で無理に冷静になろうとせず、感情に流される可能性があると割り切ることが、感情に流されない第一歩なのかもしれない。(七対子)

採用情報サイトマッププライバシーポリシーお問い合わせ