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2026/02/01掲載
失敗から学ぶことは意外と難しい
よく、「失敗から学べ」と言われますが、「失敗から学ぶことは意外と難しい」という話です。

理由の1点目は「因果関係の複雑さ」。失敗が起きたからにはどこかにその原因があるわけですが、その因果関係を解きほぐすことは簡単ではありません。システム障害が起きたとします。そこで「なぜなぜ分析」で要因を特定するのですが、「担当者のオペミス」→「担当者が業務に忙殺されており集中力を欠いていた」→「適切な要員アサインがされていない」→「IT部門に人がいない、予算がない」→「経営陣のIT戦術の軽視」→「経営陣がボンクラ」など、因果関係のチェーンは広がり、どこを起点にするのか正解はありません。

第2の理由は「実行時における妥協」。例えば、社会環境の変化から、メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に切り替えるとします。ところが、いざ導入しようとしてみると、「職務記述書が書けない」「職務記述書が更新されず放置」「評価制度とのリンクが不明確」「管理職が制度を理解せず運用が形骸化」「従業員に導入の意義が伝わらない」などの理由で導入が頓挫し、「やはりうちの会社にはメンバーシップ型のほうが合うんだ」となってしまうパターン。こうなると、戦略が誤っていたのか、戦略はよかったけれども徹底が不十分だったのか、その境界線は曖昧になります。

第3の理由は「アトリビューション・バイアス(Attribution bias)」。これは「失敗の原因を目立つ要因に求める傾向」のことを言います。分かりやすい例が、「失敗はリーダーのせい」と思いがちなことです。リーダーが悪いこともあるかもしれませんが、もしかしたら外部環境の予期せぬ変化、組織文化の未成熟さ、リソースの不足などが原因であったかもしれません。しかし、なにもかもリーダーのせいにして責任を明確にしたほうが分かりやすいし、皮肉なことにステークホルダーの怒りを鎮めることも期待できそうです。

このように、「失敗から学ぶ」ことは意外と難しいです。「失敗から学ぶ」と言いながら、本質的な議論を避け、「分かりやすいか」「ステークホルダーに説明しやすいか」「自らがつっこまれないか」を無意識に重視していないかを常に自覚する必要があります。(蹴人)

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