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2023/10/01掲載
生存者バイアス
最近、本当に耳にしたオジサンたちの会話です。
 「自分たちが若いころは、24時間休みなく働いたものだ」
 「それでも、体調不良で休む者などいなかった」
 「最近の若い者はすぐに休みたがる。たるんでいるのではないか」
ありがちな若年世代への批判ですが、しかしながら、事実として過労死への相談件数は1990年までが最多です。そもそも、体調不良やうつ病で休職を余儀なくされた人はかなりの数にのぼると思われます。昭和のノスタルジーに浸る前に、「生存者バイアス」に陥っていないかを疑ってみましょう。

「生存者バイアス」とは、あるプロセスや出来事の生存者(成功者)のみを基準に判断し、生存しなかった人や事象を顧みないことによる選択バイアスです。有名なのが戦闘機の例です。第二次世界大戦において、損傷した戦闘機が帰還したときに、軍部は、激しく損傷している部分を補強するように命じた、というものです。しかし考えてみると、本当に防御すべき部分は墜落してしまった戦闘機が損傷した部分のはずですが、それらの戦闘機はデータとして顧みられることはありません(墜落してしまったのですから)。

仕事においても、偶然うまくいった方法や自分の成功体験をもとに、「これが必勝法だ!」などとアピールしがちです。しかし注目すべきは、同様の方法での失敗事例です。なぜ失敗したのかを分析しないと学びは得られません。アップルの創業者スティーブ・ジョブズ、マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ、メタ(フェイスブック)の創業者マーク・ザッカーバーグ、いずれも大学を中退した経歴があります。だからといって、「起業家として成功するには大学を出ている必要はない」という考え方は、生存者バイアスです。

生存者バイアスは、失敗事例を見落とすことでリスクを過小(過大)評価することによって事実の認識を歪め、誤った結論を導く可能性があります。生存者バイアスの影響を軽減するためには、確率・統計マインドを発揮して、母集団全体を意識すること、今認識していることが全体の一部に過ぎない可能性を意識することが肝要です。(蹴人)

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