今どき、恐怖政治? 「恐怖政治」という言葉を久しぶりに聞きました。といっても、フランス革命期のロベスピエールが行った統治のことではなく、最近報道されている中古車販売大手ビッグモーターの不祥事のことです。あまりのひどさに溜息が出るほどで、ツッコミどころは満載なのですが、その中でも不祥事の一因とされる前副社長の「恐怖政治」から、理想のリーダー像を考えてみます。
前副社長は絶対権力者であった前社長の息子であり、社内では誰も意見を言える人がいなかったようです。加えて報道によると、常務、本部長と3人で現場に過剰なプレッシャーをかけて、「ロイヤルファミリー」などと呼ばれて恐れられていたとか…。LINEの返事が遅いだけで降格をちらつかせたり、気に入らない社員に対してすぐに異動を宣告していたと言います。いやはや…。
そのような恐怖政治が現場を極度に委縮させ、ノルマを達成するためならば何をしてもいいというモラルハザードにつながってしまったのでしょうか。ブラック企業にいると、「これが業界の常識だから」「ウチの会社のやり方はこうだから」という同調圧力に支配され、本来持っていたはずのまっとうな常識が徐々に蝕まれていきます。
前副社長は2代目として父親を越えたいというプレッシャーがあったのかもしれませんが、一連の行為は常軌を逸しています。彼のパワハラ的な振る舞いは、大勢の社員の倫理観、正義感、人としての尊厳を棄損してしまいました。リーダーは、自分の振る舞いがいかにメンバーのメンタリティに影響を与えるかを十分自覚するべきです。
漫画「宇宙兄弟」の主人公のセリフに、「リーダーは、安心と興奮を同時にくれる」というセリフがあります。安心とは、本音を言いあえるような関係性、難局ではリーダーが守ってくれるという信頼関係から生まれます。興奮とは、ワクワクするような挑戦的な目標設定、その目標を目指すべき志の共有から生まれます。少しでも理想のリーダー像に近づきたいものですが、件の前副社長はそれとは真逆のリーダーでした。(蹴人)
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