ホンダジェットと三菱スペースジェット ホンダの航空機事業子会社の米国ホンダ エアクラフト カンパニーが、ホンダジェットの後継である新しい小型ジェット機を商品化すると発表しました。ホンダジェットは小型飛行機部門でトップクラスの納入実績を上げており、新型機に関しても大いに期待できます。飛行機は部品も多く、モノづくりの総合力が問われる領域ですが、ホンダには世界で勝てる新たなモビリティサービスを展開してもらいたいものです。
ところで、機体の規模が違うので単純に比較はできないのですが、同じく期待されたはずの三菱スペースジェットは事業の完全撤退となってしまいました。両者の違いを分けたものは何なのでしょうか?三菱スペースジェットは2008年に経産省主導で約500億円の国費を投じて開発が始まりました。しかし、度重なる納期延期を繰り返し、累積1兆円の開発費を投じながら、最終的には事業凍結となりました。
三菱スペースジェットの失敗には幾つかの要因があったと言われます。第1に、航空機全体を設計・製造するノウハウが少なかったこと。単なる部品供給と全体の設計・製造とでは全く異なるスキルが求められます。そのため、運行開始に必要な「型式証明」の獲得に苦戦しました。第2に、自前主義や純血主義にこだわり、海外サプライヤーとの統合や調整に難航したこと。第3に、途中で自前主義を捨て、海外から多数の外国人技術者を集めたものの、現場技術者との対立が続いてしまったこと。
一方のホンダジェットでは、藤野道格氏というプロジェクトリーダーの存在が大きかった。同氏はホンダに入社してから30年間航空機の開発に携わり、小型ビジネスジェット機をゼロから設計し、商用化まで実現した人物です。彼は、社内の反対勢力に屈せず、ホンダジェットの意義を主張し続け、日本で事業を行う限界から米国を拠点に選び、米国企業の有能な人材を確保し、サプライヤーとも良好な関係を築き、「型式証明」でも米国航空業界の人脈をフル活用したといいます。
結局、如何に国の支援があっても、如何に現場がエリートであっても、船頭が多いばかりでは、プロジェクトは迷走します。「人生を懸け、自らの道を信じ、事業をやり抜く覚悟」をもったリーダーの存在、そしてその志に共感したフォロワーの存在。ホンダジェットの物語はプロジェクトに必要なものを思い起こさせてくれます。(蹴人)
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