多重下請け構造の闇 また何とも間の抜けた事件が起きました。兵庫県尼崎市の市民情報が入ったUSBメモリーが一時紛失した問題です。USBを紛失した男性は、尼崎市が業務を委託したBIPROGY(旧・日本ユニシス)が再委託した企業「アイフロント」が再々委託した企業の社員だったといいます。この社員が尼崎市の市民情報を記録したUSBメモリーを使ってデータ移管作業を実施した後、データを消去せずにUSBメモリーを持ち出し、酒を飲み泥酔。そのまま路上で寝込んでしまい、USBメモリーをカバンごと紛失するという、お粗末さです(その後、USBメモリーは見つかった)。
「大事な情報を持ちながら酒に酔うなよ」と、その社員の緊張感のなさを責めたいところですが(その前に情報を持ち出せることも問題ですが)、事の本質は「多重下請け構造の闇」ともいえる問題です。通常、委託者(仕事を依頼する者)は受託者(仕事の依頼を受ける者)に対し、契約において、「再委託禁止条項」を設け、予期せぬ再委託を防止するように受託者を縛ります。そこには、「受託者は委託者の事前の書面による承諾を得ない限り、委託業務を再委託できない…」などと書かれています。
ただ契約書の文言も守られなければ意味がありません(損害賠償請求に発展する)。本件について、尼崎市とBIPROGYとの間の契約では上記の「再委託禁止条項」があったらしいですが、尼崎市は「そもそもBIPROGYがアイフロントに再委託しているのを知らなかった」と言い、BIPROGYも紛失した人物の所属など再々委託の実態を当初は把握できていなかったと言います。
「多重下請け構造」による問題は昔からあり、偽装請負などの不正が起きやすく、得体のしれないブラックな企業がいつの間にかプロジェクトに紛れ込んでいるという状態になりやすいです。本件も、尼崎市にしろBIPROGY(元請け)にしろ、「いつものことだから(契約書通りにやらなくても)適当によろしく」という緩い空気になっていたのではないでしょうか。もういい加減、古臭い仕事のやり方を改め、仕事に透明感を確立し、中間搾取によるブラック企業を生まないような、仕事をしてもらいたいものです。(蹴人)
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