デジタルって… コロナの流行を受けて厚生労働省所管でいくつかのデジタル化が進められた。まずは2020年にリリースされたHER-SYS(ハーシス)。感染症を確認した医療機関が発症を届け出るシステムで、紙の発症届をファックスで保健所に送っていたのを、迅速なデータの収集・活用のために、医療機関が直接入力して報告するようにしたシステムだ。
しかし、第6波の1日当たり5万人超の感染者が出ていた時期に、全国の政令市では半数の届け出はファックスによるものだったため、結局は各自治体の保健所がハーシスに代行入力することになり、却って保健所の業務が逼迫することになった。なぜハーシスが使われないのかというと、スマホでの入力に対応してない、入力項目が多すぎる、システムにアクセスが集中すると遅くなる等々と、利用者の使い勝手が考慮されていないことが原因だったらしい。
自宅療養者が増えだした頃、ハーシスに続いて、感染者の健康観察をするMY HER-SYS(マイハーシス)の運用が開始された。コロナ陽性となった患者が健康状態を毎日保健所に報告するためのものだが、利用者がIDを作るために丸1日かかるとか、一方通行で報告するだけで、利用者が保健所に健康状態について相談したくてもマイハーシス上ではできない等、感染によって不安を抱えている患者にさらに負担を与えることになった。利用者にしてみれば誰のためにデータ入力をしているのかわからなくなるだろう。
2020年の6月に、接触確認アプリCOCOA(ココア)が登場した。ココアをスマホに入れておけば、過去14日以内に陽性者との接触があれば知らせてくれるアプリだ。筆者もリリースされてすぐインストールしたが、しばらくして、感染者との接触があっても通知されない不具合があったことでココアの評判は下がり、筆者を含めアンインストールする人が増えた。しかし、利用しなくなった人数が把握できていないため、実利用者数も不明となり、アプリの効果が評価できなくなっている。
これらの事例を見ていると、日本のデジタル行政のお粗末さを感じる。前政権の肝いりで、昨年「デジタル庁」が発足しているが、この名称では人間のアナログな営みを単に「0」と「1」のデジタル信号に置き換えることが仕事のように聞こえる。他に行政システムの未来が感じられるような名称がなかったのだろうかと思う。(歩)
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