日本人初の快挙 タイトルを見ただけで今回のテーマはお分かりいただけるだろう。そう、松山英樹プロのマスターズ・トーナメント制覇についてである。テレビやニュースでも賑やかに報じられているので食傷気味になっている方も大勢いらっしゃるかもしれないので、再び取り上げることに少し躊躇いもあったが、ゴルフ好きとしては今回の偉業をテーマにしなければという思いの方が勝ってしまった。単なる小欄の自己満足に過ぎないテーマなので、ゴルフに興味のない方は読み飛ばしていただいても構わない。
長年、日本人がマスターズで優勝することは無理なのではないかと言われ続けていた。これまでにものべ60数名の日本人選手が挑んできたが優勝することはできなかった。欧米の選手と比較してフィジカル面で劣るから勝てないという意見もあるようだが、果たしてそうだろうか。
ゴルフのトーナメント競技は、大勢の選手とスコアを競うが、戦う相手は他の選手ではなく、ゴルフ・コースとの戦いだ。したがって競技中はゴルフ・コースに対してベストなショット繰り出すことができるスキルと、さらにそのスキルを最大限に発揮するために、これまでの経験にもとづいたマネジメント力が必要になる。特にオーガスタのコースには、“ガラスのグリーン”と称される複雑な傾斜が重なった超高速グリーンがあるから、グリーン上ではこれまでの経験からラインを読み、そのラインに正確にかつ最適なスピードでボールを打ち出すパッティング・スキルを調和させる必要がある。
これまでの日本人プレーヤーにもオーガスタに挑むだけのスキルはあったはずだ。しかし、オーガスタでの経験が少なかったことでマネジメントができず結果を残せなかったのではなかろうかと、今回の松山プロの優勝を見て感じた。彼は10年前のアマチュア時代からマスターズに毎年出場し続けている。10年間も出場を続けた日本人選手はいない。マスターズは招待資格を満たす名手(マスター)だけしか出場できない大会だから、この間ずっと出場資格を維持し続けるだけの実績をPGAツアーで残してきた経験があったからこそ、日本人初の快挙につながったのではないだろうか。彼の優勝はマネジメントを生業にする者にとって経験とスキルの大切さも教えてくれたと思っている。(歩)
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