プロジェクト・マネジメントのPMコンセプツ/コラム詳細

プロジェクト・マネジメントのPMコンセプツ/コラム詳細

PMコンセプツ・トップページ >> コラム詳細

採用情報サイトマッププライバシーポリシーお問い合わせ

コラム詳細

2020/12/01掲載
マシュマロ・テスト
大阪市を廃止し複数の特区に分割するという、いわゆる「大阪都構想」が住民投票の結果、2015年に続いて2度目の否決となりました。この問題では、二重行政によるコストやサービスレベルの低下などが議論されていましたが、本質的には、このまま現状維持でよいのか、それとも東京、上海、シンガポールなどに比肩する都市になるべくチャレンジするのか、の選択です。そして大阪府民は前者を選びました。

そこで思い出したのが、心理学で有名な「マシュマロ・テスト」。マシュマロ・テストは1960年代後半から1970年代前半に行われた実験で、子供たち(被験者)の目の前においしそうなマシュマロを置き、実験者が、「私は用がある。マシュマロは君にあげるけど、私が戻ってくるまで15分の間食べるのを我慢したら、もうひとつマシュマロをあげるよ」と言って部屋を出ていく、というもの。結果的に、誘惑に負けてすぐにマシュマロを食べてしまう子もいれば、15分待って2個目のマシュマロをもらえる子もいました。

そして10年後の追跡調査の結果、驚くべきことに、マシュマロを我慢できた子どもたちの方が、学業成績、社会性、精神面において、我慢できなかった子供たちよりもすべての分野で上回っていたのです。「マシュマロ・テスト」は、子ども時代の自制心が将来の社会的成果と関連付けられることを示す実験として有名になりました。

そして、多数の類似実験もあります。その1つを紹介すると、それは実験者と子供たちとの信頼関係がマシュマロを我慢できる時間に影響するのではないかという仮説から始まりました。すると(実験の詳細は割愛するが)、予想通り、実験者を信頼できないと考えた子供たちがマシュマロを待てた時間は平均して3分2秒、対して実験者を信頼できると考えた子供たちは平均12分2秒も待つことができたのです。我慢できるかどうかはその環境(人間関係)に影響されることが分かったわけです。つまり、「未来が不確かだとみなされるほど、いま得られる満足度を将来の喜びのために先送りしない」ということです。

大阪都構想の場合、大阪府民はそこそこ現在の生活に満足しており、大阪都構想によって起こりうる不確実性(リスク)に対して、それを受け入れる心構えができていなかった、ということなのでしょう。(蹴人)

採用情報サイトマッププライバシーポリシーお問い合わせ