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コラム詳細

2020/03/01掲載
実効性なき実行
人手不足が深刻な産業に対応するために、外国人労働者の受入れ拡大の制度化が進んでいる。その中で、昨年4月に在留資格としての「特定技能」が新設されて1年が経とうとしているが、拡大に至っていないという記事があった。政府見込みとしては47,000人のところ、今年1月末時点で3,108人、まだ10分の1にも満たないという残念な結果だそうだ。その背景には、送出し側各国の準備不足や受入れ側企業のコスト負担が大きいことなどに加え、在留資格制度の建付けの悪さもその要因として指摘されている。

例えば、外食業は「外国人によって不足する人材確保を図るべき産業分野(14分野)」の中の1つとなっている。しかし、ホテルやテーマパーク内の飲食店で働きたいと思っても、運営会社が同じなら外食と見なされず、特定技能の資格があっても働くことはできない。理由は、外食業は農林水産省の所管、ホテルやテーマパークは国土交通省の所管と分かれており、所管省庁ごとに運用方針、要領が決められているから、外食業での特定技能の資格は他業界では適用されないというわけだ。縦割り行政の弊害を抱えたままの制度といえる。さらに、在留期間は最長5年までとか家族の帯同は認められないという縛りもある。これでは、長期的に海外で働き続けたいと思っている人は日本で働くことに魅力を感じない。このままでは外国人労働者を確保するという目的は達成できないだろう。

一方で、日本国内では新型コロナウィルスの感染者数が拡大の一途を辿っていて、日々政府や厚生労働省の対応が盛んにメディアで取り上げられている。1月中旬、初めてに国内で感染が確認された当初は、「感染拡大は考えにくい」「人から人への感染の可能性は少ない」「水際対策を徹底する」と厚労省が会見していたが、その後の状況からは、当初の見立ては甘かったのではないかと思えてならない。そのため、感染者を増やさないための施策も後手に回り、水際で食い止めるどころか、感染は広がり、感染ルートが不明の感染者まででてきているという始末だ。

増やすことを目的とした施策では増やせず、増やさないことを目的とした施策では逆に増やしてしまっている。このように、目的達成に寄与することのない実効性の伴わない施策は状況に応じた柔軟な見直しが必要だ。実効性なき実行からは価値ある結果は生まれないと思う。(歩)

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