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コラム詳細

2020/02/01掲載
みんなで決めた?
2020年度に始まる大学入試共通テストで導入予定だった国語と数学の記述式問題について、同年度の実施見送りが決まったという報道がありました。文科相は記述式見送りの理由を、「採点ミスをゼロにすることは期待できない」などと説明していました。もう一つの目玉だった英語の民間試験の活用も既に頓挫しており、入試改革は総崩れ。まさにガラガラポンの出直し状態となりました。なぜ、このようなことになってしまったのでしょうか。

文科省が2017年7月に記述式導入を決定した当初から懸念の声はありました。50万人の解答を約20日間で採点するのに必要な採点者は8千人~1万人と見積もられ、採点のミスや採点者の確保が危惧されていました。自己採点が難しく、出願先選びに影響が出るのではないかという声もありました。文科省は懸念を払拭しようとしましたが、与野党からの圧力で見送りに追い込まれました。

英語の民間試験導入についても、多くの専門家から抗う声はありました。TOEFL等の民間試験を受験できるのは都市部に限定され、受験料は高いもので3万円近い。日本列島の隅々までどんな経済状況でも公平に機会を提供すべきテストとして明らかに不適格です。人生を左右しかねない50万人の生徒のことを、生徒の未来を、真剣に考えているのかと言いたい。一体、誰のための、何のための、入試改革だったのか!

文科相は会見で、混乱を謝罪しながらも、「特定の人の責任でこういう事態が生じたわけではない」と述べていました。「みんなで決めた」ことだから、ということなのでしょうか。よく日本人は「会議で決まった」という言い方をしますが、会議そのものには人格はありません。決めたのはあくまでも「人」のはずです。みんなで決めたことにして、何かあったときの責任と罪悪感を分散する姿勢は、まさに当事者意識の欠如であり、プロジェクト・マネジメントの精神からは真逆のものです。(蹴人)

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