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コラム詳細

2019/12/01掲載
目標はSMARTに
目標を設定する際のフレームワークに「SMART」があります。これは、目標を達成するための5つの成功因子の頭文字とったものです。それは、①明瞭であること(Specific)、②測定可能であること(Measurable)、③合意されていること(Agreed To)、④現実的であること(Realistic)、⑤期限があること(Time-Constrained)です(「A」と「R」は他の応用形もあります)。今回は、この「SMART」がいかに大事かという話です。

最初の例は、実際のアメリカの教育現場で起きたことです。1983年、アメリカで「危機に立つ国家」(A Nation at Risk)という連邦報告書が発表されました。そこでは、アメリカの学生の学力低下が深刻な状況にあると指摘されていました。そこで当時の政権は、その原因が教師の教え方にあると考え、多くの州で教師を競争させる仕組みが導入されました。生徒のテストの成績によって教師の能力を評価し、最下位から10%の教師をクビにするという荒療治です。その結果何が起きたか。教師は当然クビにされたくないですから、教師による大規模なテスト結果の改竄が行われるようになってしまったのです。

次の例は、最近の「かんぽ生命」の不正販売問題です。かんぽ生命が多くの顧客に不利益となる二重払い、無保険状態を強いたというものです。ここまでくるとまさに特殊詐欺と変わらない。高齢者は特殊詐欺と同じくらいに郵便局に気をつけた方がよいとさえ思ってしまいます。始末が悪いのは、以前より問題が指摘されていたにもかかわらず、上層部は十分な内部調査をせずに、逆にそれを報道しようとしたNHKに圧力をかけるなどの保身(組織防衛)の姿勢です。この不正販売の背景には過剰な販売ノルマがあったと言われています。

単なるノルマと目標の違いは、ノルマは義務感のみに支配されますが、目標は「主体的なコミットメント」を伴うものです。ここで挙げた2つの例は、「SMART」のうち、③合意されていること(Agreed To)、④現実的であること(Realistic)が決定的に欠落しています。「A」と「R」が欠落すると、モチベーションを下げ、「抵抗しても無駄だ」とニヒリズムに陥り、倫理観・モラルが崩壊し、最後はまっとうな道を踏み外すことがよく分かります。(蹴人)

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