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コラム詳細

2019/03/01掲載
物差しの使い道
今回は昔話から・・・筆者がまだ子供のころ、筆者の家には「鯨尺」という竹製の物差しがあった。あまり馴染みのない人が一見すると、普通の物差しにしか見えないかもしれないが、よくよく見ると現在の定規などで使われているメートル法の目盛りとは違い、尺貫法でできた鯨尺は、目盛りの間隔が広くなっている。この鯨尺は和裁用で、反物の長さを計る時に使われるものだ。別に筆者の実家が反物屋とか和裁業を営んでいたわけではない。まだ各家庭に和服が当たり前のようにあった時代にはよく見かけるものだった。

本来、この鯨尺は裁縫の時に使われるのだが、子供にしてみるとこれが格好の遊び道具となる。よく家から風呂敷と一緒に持ち出して、風呂敷は頭に巻いて忍者に扮装し、鯨尺はベルトやシャツの背中の部分に挟んで刀代りにして、チャンバラごっこの道具として大活躍することとなる。ただ、あまりにも遊びに興じ過ぎてしまった結果、キズや泥をつけて家に持ち帰り、母親に、「物差しは遊び道具じゃありません」と叱られることになる。母親の方はというと叱るついでにその鯨尺で息子のお尻をピシャリとお仕置きをする。親子揃って、物差しを本来の目的でないチャンバラやお仕置きで使うことの方が多かったように記憶している。

プロジェクト・マネジメントの世界で、物差しの役目を担っているのはベースラインだ。スコープ、スケジュール、コスト、品質、リソース等々、様々な尺度でプロジェクトの現状と比較する時に使う。もし、現状とベースラインとの間に乖離が生じたときは、そこに内在する問題を見つけ出し、問題解決する時はベースラインに近づけるようなアクションを行う。プロジェクトの健全性を維持するために使ってこそ、物差しとしての本来の役目を果たすはずだ。

この物差しも、ひとつ使い方を間違えると、とんだ落とし穴に陥ってしまうことになるようだ。今年1月に行われた大学入試センター試験の国語の試験において、問題文に「定規」を当てて読んでいた受験生が、不正行為として判断され、全科目が無効となってしまったことがあった。確かに受験上の注意として、コンパスや電卓、そろばん等と並んで定規も使用をしたら不正行為となること、不正行為と認められた場合には全教科の成績を無効にすると書かれているから仕方ないのかもしれないが、傍からは少し杓子定規な対応に見えた。(歩)
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