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コラム詳細

2018/05/01掲載
甲の横暴
大韓航空の女性専務が、会議中に激高して、取引先の担当者に向かって水の入ったコップを投げつけたり、社内で暴言を吐いたりする様子が、インターネットの掲示板に投稿されて騒動になった。その専務の姉は、2014年に、当時副社長を勤めていた自社の旅客機に搭乗した際に、客室乗務員のナッツの出し方に腹を立てて、搭乗機を引き返させたとして世間の非難を浴びた。当時は「ナッツリターン事件」としてメディアでも大きく取り上げられていた。今回の騒動で、姉の「ナッツ姫」に続き、妹が「水かけ姫」と呼ばれるようになり、2人の姫は大韓航空グループ内のすべての役職から退くという顛末を迎えた。

今回の報道を見て、ナッツリターン事件の頃に韓国内で流行していた「甲の横暴」ということばが思い起こされた。ここでいう甲とは契約書で当事者を便宜的に表す甲と乙。あの甲だ。韓国でも契約書では当事者を甲と乙とで記載する。「甲の横暴」とは、取引上甲側が強い立場にあり、その甲が自分の立場を利用して、暴言や暴行、強引な取引を押し付ける等の行為を指す。勝ち組(甲)から負け組(乙)への傍若無人な行為や、経済格差が広がる社会に横行するパワハラを指すこともある。事件当時、甲の横暴による企業の不祥事が相次いだことにより、韓国社会では、そのようなパワハラ行為は許さないという風潮ができあがった。

日本でも、契約書では甲と乙が使われるのだから、同じような事例が恐らくあるだろう。しかし、最近のニュースを見ていると「官の横暴」ともいうべき問題の方が非常に多いようだ。森友学園問題では財務省内で文書が書き換えられたとか、同省の事務方トップのセクハラ発言疑惑だとか、防衛省では自衛隊日報の隠蔽疑惑もある。加計学園に絡んでは、首相秘書官の自治体への「首相案件」発言も問題になっている。これらの横暴行為の出所はすべて「官」である。そして、厄介なことに、そこでは最高権力機関である「官邸」の横暴も疑われているということだ。

今、日本全体に「官の横暴」は許さないという世論が高まりつつある。この際だから、官邸をはじめとして、官僚の方々にもこの世論を真摯に受け止めてもらって、一掃する決意を持った行動を期待したい。一掃したら誰もいなくなってしまったということがないことを願いつつ……。(歩)

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