プロジェクト・マネジメントのPMコンセプツ/コラム詳細

プロジェクト・マネジメントのPMコンセプツ/コラム詳細

PMコンセプツ・トップページ >> コラム詳細

採用情報サイトマッププライバシーポリシーお問い合わせ

コラム詳細

2018/04/01掲載
品質意識を取り戻せ
戦後、日本が高度経済成長を遂げることができたのは、日本メーカーの世界に誇れるモノづくりの技術があったからです。しかし、昨今、日本のメーカーの品質に関する不祥事が続いています。最近では、新幹線「のぞみ」の台車に亀裂が見つかった問題で、川崎重工が台車の製造過程で底部を不正に削っていたことが明らかになりました。筆者もよく新幹線を利用しますが、鋼材の板厚が基準より薄い台車に乗っていたのでしょうか。

そう言えば昨年も、名門企業の品質管理を巡る不正が立て続けにありました。日産では社内資格を持つ従業員がすべき完成車の検査を、無資格者が行っていたことが発覚。神戸製鋼では、アルミや銅製品の強度や寸法をチェックする検査証明書を少なくとも十年以上前から書き換えるなど品質を偽装して出荷。しかも組織ぐるみで隠蔽が行われていました。三菱マテリアル子会社や東レ子会社でも、製品の検査データの改竄が行われていました。もうこれだけ続くと、どんなニュースがあっても驚かなくなりました。一体、日本のメーカーに何が起きているのでしょうか。

今回の一連の不正について、「従来のやり方を踏襲していただけだ」「安全性に大きな影響はない」「受注競争が激しかった」などの言い分(開き直り)もあります。悪いのはルールを破った現場なのでしょうか。しかし筆者は、トップこそが意識を変えなければ、このような品質管理を巡る偽装や不正はなくならないと考えます。

現場にいる人が、自ら進んで偽装や不正をしたがることはありません。取引先を失いたくない、納期を守りたい、社内の軋轢を避けたいなどの圧力によって、偽装や不正に関与してしまうのではないでしょうか。そして、それを告発しにくい「空気」(告発するとムラの調和を乱して居場所を失う)が充満しているのでしょう。

この「空気」を変え、偽装や不正を早く発見し、報告した方が自分のためにも会社のためにもなるという、「空気」や仕組みを作れるのはトップだけです。トップは、現場は同調圧力によりトップが思っている以上に悪いニュースを伝えることを躊躇しがちなことを理解すべきであり、徹底的なコミュニケーションによって、まっとうな美意識を植え付けるべきです。(蹴人)

採用情報サイトマッププライバシーポリシーお問い合わせ