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コラム詳細

2018/01/01掲載
メリットなのか?
昨秋、当社はオフィスを移転し、それに伴い筆者の通勤経路が変わった。すると通勤途上である工務店の看板を見かけるようになったが、今その看板がとても気になっている。

その看板は賃貸マンションを建てる際の、ある「工法」を宣伝しているが、そこにはその工法を採用した時の3つのメリットが書かれている。気になっているのはその内容だ。まず「他物件との差別化で入居率アップ。長期入居で収入安定」と謳っている。しかし、工法を変えることによって、なぜ入居者が増えるのか?については触れられていない。どんな建て方をしたマンションなのかは、入居者には伺い知れないところだから、入居を促すことにはならないのではないだろうか。したがって施主(家主)の収入安定にもつながらないはずだ。これでは一体誰を喜ばせることができるのかがわからない。

2番目は「自由な間取り設計と、リフォーム、設備の修理が簡単」となっている。一見良さそうに見えるのだが、これでは施主自身が、自らメリットを想像して補わなければならないことになる。施主が、自由な間取りが設計できると入居者の家族構成に合わせることができる」とか「修理が簡単だとメンテナンスコストが安上がりだ」と良い方に考えてくれれば良いが、「入居者に勝手にリフォームされては困る」とか「修理が簡単で喜ぶのはリフォーム業者なのでは…」と考えてしまったら逆効果だ。 相手の心を動かしたいのなら、メリットを享受している姿を相手に映像化させるぐらいの訴求力が必要ではないだろうか。

最後に書かれている「最適価格でゆとりの空間創造」も本当にメリットなのか疑問だ。最適価格は最安ではなく、納得のいく妥当な価格という意味だ。しかし、施主にしてみれば、納得の価格は当然であって別にメリットでも何でもない。耳当たりのよい言葉を盛り込んではいるけれども、その言葉の裏側に「ゆとり空間が欲しければ、それなりのお金がかかるから覚悟してね」という広告主の意図を見て取ってしまうのは穿ち過ぎだろうか。

工務店の方が読んだら、「文句があるなら、看板を見なければいい」と反論されることだろう。確かにその通りだと思うのだが、気になりだすとつい素通りできずに目が行ってしまう。その看板に慣れるまでに、もう少し時間がかかりそうだ。(歩)

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