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コラム詳細

2017/11/01掲載
10年前の警鐘
最近、品質や安全性に関連した企業の不祥事が続いている。9月末には全日空(ANA)の旅客機からの機体の一部(パネル)と思われる落下物が見つかった件と、日産自動車において無資格者による完成検査が行われていたというニュースが立て続いた。10月に入ると神戸製鋼所が、アルミ製品などで性能データを改ざんしていたことを発表した。

ANA機がパネルを落下させたのは9月の初旬らしいが、同機はその翌日にもパネルを落下させているというから、もうこれは単なる整備不良では済ますことのできない事態だと思う。三菱自動車による燃費データ不正を指摘したのは日産だった。その後日産は苦境に陥った三菱自を傘下に収める事になったが、実は自社内でもいい加減な検査体制だったとは何ともお粗末な話だ。リコールの届けを出したようだが、リコールすれば済むという問題ではない。神戸製鋼ではアルミ製品以外でも不正が取り沙汰されていて、不正に関わった社員も多数いることから、組織ぐるみの不正と指摘されている。どの事例も品質や安全性の軽視が常態化していたことがうかがえる。

確かにこれまでにも同じような不祥事はあった。しかしこれだけ続くと、10年前の「2007年問題」に関する記事が思い起こされる。その記事を新聞で見たのか雑誌で知ったのかは定かではないのだが、書かれていた内容は覚えている。2007年は、団塊の世代が最も多く定年退職を迎えて労働人口が減少に転ずる年でもある。それを契機として様々な問題が考えられるのだが、中でも製造業における技術・技能の伝承の断絶と人材不足が品質や安全性を脅かすことになるとその記事は警鐘を鳴らしていた。

その後再雇用制度が進み、定年が60才から65才へと引き上げられたことにより2007年問題は「2012年問題」へとシフトしたが、どちらにせよ技術の断絶や人手不足は、じわりじわりと組織を疲弊させ、結果として製品やサービスの品質に表れるだろうから、この10年間、有効な対策が取られなかった結果が、前述のような不祥事を招いていると思えてならない。

当社は、毎年お客様にクリスマスカードを送らせていただいている。昨年のカードの図案は、老朽化(疲弊)した客船(企業)が荒波に揉まれ沈没(思考停止)寸前の状況を描いたものだった。カードに描かれたことが現実のものとならないことを願いたい。(歩)

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