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2017/02/01掲載
ポスト・トゥルース(post-truth)
<ポスト・トゥルース(post-truth)>

昨年、日本漢字能力検定協会が公募する「今年の漢字」で「金(キン/カネ)」が選ばれました。一方、イギリスのオックスフォード英語辞書が「今年」を象徴する言葉として選んだのが「ポスト・トゥルース(post-truth)」でした。説明を引用すると、「一般大衆の意見形成において、客観的な事実の説明よりも、感情や個人的信条に訴えるほうが影響力があるという状況」という意味だそうです。要は、「理性に訴えるよりは感情に訴える方が効果がある」ということでしょうか。

典型的なのが、アメリカ大統領選挙の「トランプ現象」です。トランプ氏の選挙公約は、「イスラム教徒がいるからテロが起きる」「不法移民が社会混乱を拡大する」「輸入するから雇用が奪われる」などイスラム教徒、移民、自由貿易などを「敵」として名指し、「私が大統領になったら、問題を全て解決してみせる」と主張しました。これらの主張は、その論理性や根拠を別とすれば、実に単純で明快でした。「敵」を作り上げ、「ワンフレーズ」の簡単明瞭な言葉で攻撃することによって熱狂的なトランプ信者が増えたものと思われます。

ところで、「理性に訴えるよりは感情に訴える方が効果がある」というのは、当たり前のような気がします。生命は進化の過程で感情や理性を持つようになりました。人間以外の動物は本能のままに行動するが、人間においては本能や感情に流されずに理性(客観的な認識や判断)に基づいて行動する、とされています。しかし我々は、感情が暴走し理性を失う人間を度々目撃します。感情の方が理性よりも生命の根源に近いところにあるため、力(影響力)が強いのではないでしょうか。

一方、説得される側からすれば、カモられないためには、可能な限り自分の感情を客観的に把握すること、物事を批判的に捉えること、感情に押し流されそうになった時に踏みとどまる自制心が必要です。それらの多くは、本来教育によって身につけるべきものです。「ポスト・トゥルース」や「ポピュリズム」などの状況が跋扈する世の中を生き抜くために、ますます「真の教育」が求められています。(蹴人)

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