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コラム詳細

2016/10/01掲載
決心と決断
経営の神様と呼ばれたパナソニック(旧松下電器)創業者の松下幸之助氏は多くの名言を遺しており、どれもが心に響くものばかりですが、その1つに「決心することが社長と大将の仕事である」という言葉があります。

「決心」と似たような言葉に「決断」があります。何となく「決断することが社長と大将の仕事である」のほうがおさまりがよい気もします。変化が少なく順風満帆な経営環境の中にある企業でないかぎり、経営者(リーダー)は数多くの修羅場に遭遇し、時には身を切るような決断を迫られる場合があります。「決断」とは、物事に白か黒かの判断をつけ、どちらかをとる(選ぶ)、あるいはとらない(捨てる)と決める、強い意志力をイメージさせる言葉です。では、なぜ経営の神様は「決断」を使わずに「決心」と言ったのでしょう。

松下幸之助氏のエピソードの1つに戦後すぐのGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)との粘り強い交渉の話があります。占領軍の政策であった財閥解体の中で、松下電器も財閥に指定されました。全資産が凍結され、松下氏も公職追放を通告されました。

これは理不尽だ、松下電器は大借金を負わされた戦争の被害者で、財閥でもなく、解体されるいわれはない、進駐軍はアンフェアだというのが、松下氏の言い分です。松下氏は指定が解かれるまで決して引き下がらないと、「決心」しました。そして、「泣く子とGHQには勝てない」と言われていた強い権力を持ったGHQを向こうに回し、関西からすし詰めの汽車に乗って何十回も上京、陳情を繰り返したといいます。そして、ついに粘りがGHQを動かし、再調査の結果「財閥」指定、公職追放が解除されました。

松下氏の言う「決心」には、この一連の戦いを推し進める継続的な意志がこめられていました。「決心」という言葉には、決断することはもちろん、その後に予想される困難を乗り切る強い意志もこめられているように思えます。翻って現在、決断したことを最後までやり遂げると「決心」できる腹の座った経営者(リーダー)が果たして何人育っているでしょうか。(蹴人)

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