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2015/03/01掲載
水に流す
日本人は”水に流す”ことが好きなのかもしれない。元々は邪悪なものを川などで清め流すという日本独特の文化からきているらしいから、耳障りのいい言葉だとは思う。

昨年、トヨタ自動車が燃料電池車の量産化を発表した。水素と空気の化学反応から電気を作りモーターを回す仕組みなので、排出されるのは水のみ。ガソリンを一切使わない究極のエコカーの市場投入は、化石燃料依存という旧来自動車が抱えていた問題を水に流してくれるのではと期待させるニュースだった。

しかし、現実はそんなに耳障りのいい話ばかりではないようだ。ガソリンの代わりに利用する水素をどうやって作るのかという大きな課題が残っている。水と同じようなものだろうからどこででも手に入ると思いきや、水素自体は自然界にはほとんど存在しないらしい。現時点で水素を手に入れる方法は、ひとつが石油精製時や製鉄所のコークス炉で副産物として大量に発生する水素を利用する方法。しかし、これでは化石燃料依存から脱却できない。別の方法としては、水を電気分解する、もしくは化石燃料以外の物質を改質させて水素を製造する方法が考えられるが、これはコストがかかりすぎてしまう。それに電気分解する時の電気はどうするのか、化石燃料以外の物質を利用する上で新たなリスクが起こり得ないのかという問題までクリアしなければならないとなると、完全に旧来のしがらみを水に流すまでには、まだまだ時間がかかりそうだ。

一方、福島第一原発では水に流してはならない事態に直面している。

現在原子炉建屋に流れ込む高濃度汚染水は、浄化装置で処理し、処理後の水はタンクで保管している。装置で処理しても放射性物質のトリチウムを除去することができないためだ。現在保管タンクは1000基。このままタンクを増やし続ける訳にいかないので、処理水を薄めて海に流してはどうかという議論が専門家の間で起こっているとのことだ(2月1日 読売新聞)。いくら日本人が水に流すのが好きだとはいっても、安易に行うべきではないと思う。

トリチウムは水素の仲間だというから、燃料電池車の燃料として利用して、電気を作る過程でトリチウムを取り除く技術が実現できれば、一挙に問題解決とも思えるのだが、専門家の方々には「所詮素人考えに過ぎない」と聞き流されてしまうだろう。(歩)

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