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コラム詳細

2014/06/01掲載
学んだ教訓
三国志(吉川英治著)には、後漢末期に朝廷を牛耳っていた董卓の軍勢とその打倒を目指す連合軍との戦いのくだりがある。その中で連合軍の武将曹操は、形勢不利と見た董卓が長安に逃げで行くのを、功を焦って深追いしてしまい、1日に千里を駆ける駿馬、赤兎馬(せきとば)に跨る敵将呂布の軍の反撃で壊滅的なダメージを受け、命からがらの敗走の末、何とか一命を取り留める。

九死と思われるような苦難が去って一息ついた曹操は、「戦にも負けてみるがいい。敗れて初めて覚(さと)りを得るものがある」と負け惜しみでなく思ったという。

何かを成し終えたなら、そこから教訓を得て次に備えるのはマネジメントのセオリーだ。曹操がそのセオリーを知っていたとは思えないが、結果が無惨な敗戦であったとしても、そこから教訓を得ることの大切さは知ったに違いない。しかし、治乱興亡の時代においては、曹操のような名将を持ってしても敗戦の中から「もう戦いはやめよう」ということまでは学べなかったようだ。

日本は、第二次世界大戦に負けてその敗戦から「二度と戦争はすべきではない」という教訓を学び、「平和主義」の日本国憲法を1946年に公布した。それからやがて70年近く経とうとしているが、集団的自衛権の行使の議論とともに、その憲法の平和主義の精神が揺らぎかけている。

どうも自民党の一部の国会議員さん達は「自国の防衛以外に武力を行使しない」から「自国の安全保障上不可欠な国の防衛にも協力できる」としたいらしく、そのために憲法の解釈を変えると言いだしている。いろいろな考え方があるのは当たり前だから大いに議論してもらって構わないが、国民の代表の国会議員にはじっくりと時間をかけて話し合ってもらいたいと思う。昨今国会では一部の政権を握っている人たちが意見をゴリ押しするような光景を目にする機会が多いが、国家の安全保障に関する問題だけに多くの意見に耳を傾けた中で議論してもらいたい。

先の大戦で大きな犠牲を払って得た教訓によって、70年近く日本の平和は守られてきた。そしてこれから先も恒久的に平和が続くことが国民の願いだと思う。憲法が制定された当時と今とでは世界情勢は変わってきているかもしれないが、拙速な議論で国民の平和への願いが裏切られるようなことはあってはならないと思う。(歩)
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